進化と植物の自己防衛システム

生命の進化を考えてみましょう。生命は水中にはじめて出現しました。水は比較的無害な環境です。この地球上の最初の生きた細胞は太陽光からエネルギーを得る必要があったと考えられます。そのような状態にあっても、あまった活性酸素を消去する必要がありました。さもないと、その活性酸素によって細胞自身が殺されてしまうからです。葉緑素は現在でもこの2つの仕事を行っています。しかし、この2つの仕事、つまりエネルギーの吸収(光合成)と活性酸素の中和(抗酸化)を分離する方が効率的です。これこそが、ほとんどの植物が葉緑素を生産し、同時に一連の抗酸化物質を生産する理由です。これらの抗酸化化合物の多くは、紫から青、緑、黄色、オレンジ色から赤までさまざまな色をしています。植物のさまざまな色、つまり春の花の華やかな色彩から秋の枯葉のにび色までの多様性はこれら抗酸化化合物の色素なのです。

進化の歴史がもう少し進むと、最初の動物が出現します。動物は光合成ができません。植物とおなじ方式で抗酸化化合物を作る必要もないのです。エネルギー源として太陽光線を必要とはしません。色素の防壁で自分の体を物理的に守る必要もありません。とはいっても、やはり抗酸化物質は必要です。呼吸する酸素から発生する活性酸素から身を守らなければならないからです。そのための最も容易な方法は、植物が作る抗酸化物質を入手すること、つまり植物を食べることです。植物からエネルギーも抗酸化物質も入手することです。肉食動物は植物を食べませんが、他の動物の内臓や脳などにあるミネラルや脂溶性の抗酸化物質を食べることによって問題を解決しています。

人間が、植物性の食物を摂取することによって、植物の抗酸化防御システムを利用するということは、ちょうどヤドカリが他の海洋性生物の殻を利用して身を守るのと似ています。植物のカロテノイドとフラボノイドは、ちょうどこの借り物の防御システムのようなものです。これらの化合物は、植物が太陽光線と活性酸素から自分の細胞を守り、葉緑素を活性酸素から守るように、動物を守ります。人間がこれら化合物を摂取すると、それにより植物とまったく同じように、皮膚やその他の体組織を活性酸素の害から守ります。同じように、ビタミンE、ビタミンCとベータカロチンは、放射線治療を受けている患者を放射線の害から守るわけです。

この原理は他の動物にとってもまったく同じです。トマトに含まれるリコピンを投与したマウスは活性酸素による害から守られることが実験から明らかになっています。ビタミンCもビタミンEも同じように防御効果があることが判っています。豚の代謝システムは人間の代謝システムとよく似ているのですが、その豚の場合、放し飼いにされて自分で勝手に餌を見つけて食べている豚の肉の方が、工場生産的に飼育されている豚の肉より酸敗が少ないことが確認されています。

こういったことすべてが、活性酸素が原因とされる各種の変性疾患について、抗酸化物質がその発症を遅らせる理由を説明しています。白内障から黄斑変性、ガン、冠状動脈疾患、関節炎にまでいたる数多くの疾病についてこの原理が当てはまります。別の章でいずれこの少々大胆な仮説を検証してみることにします。

第三章 悪玉酸素の正体は(その一)?

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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