現在のところ主流とされる説によれば、この病気の発症のメカニズムは血中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)と他のコレステロールが酸化され動脈壁に移動し、そこで酸化したコレステロールが害をなす、とされています。この説を支持する証拠は数多くあります。しかし、あまり一般人には知られていない事実ではありますが、酸化したコレステロールが血栓を作る傾向があり、この血栓が心臓発作を引き起こすという事実です。酸化したLDLコレステロールはいずれにせよ悪玉です。

良く知られている抗酸化物質の多くがLDLコレステロールを酸化からまもります。セレニウム、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチンなどの抗酸化性補助食品を、ボランテイアによって実験してみると、コレステロールの抗酸化性が強化されることが判ります。この実験では特にビタミンEについて好結果が認められています。大規模に行われた2つの介入実験で、心臓発作が約50%に減少し、アテロームの進行が減少したという結果も出ています。そうだとすれば、ビタミンEの摂取はだれにとっても勧められることなのでしょうか。

答えは「イエス」です。ただし、最大の効果を期待するなら、ビタミンEの単独での摂取では不十分です。LDLコレステロールの酸化に関する最新でより正確な説明は次のようになるでしょう。すなわち、ある条件の下では、ビタミンEはLDLコレステロールの酸化を加速させることがあり得るのです。その「鍵」はビタミンQ(コエンザイムQ10)であり、LDLコレステロールの抗酸化性はコエンザイムQ10次第と思われます。というのは、1度Q10が酸化されればビタミンEはむしろ事態を悪化させさえするのです。ビタミンCあるいはフラボノイドがビタミンEの背後に控えていてこそビタミンEは効力を発揮し、LDLコレステロールの酸化が防がれるのです。

ビタミンEのバックアップというのは、ビタミンCが持つ心臓防御機能の大きな役割の1つです。しかし、それだけではありません。ビタミンCは動脈内壁の状態を正常にたもち、血栓形成因子を減少させます。一時、ビタミンCは善玉コレステロールHDLを増加させると考えられた時期がありましたが、今ではもうその説は説得力が乏しいと思われます。大切な点は、ビタミンEは、本当はビタミンC、コエンザイムQ10およびフラボノイドに加えて、抗酸化酵素の働きを正常にたもつ微量ミネラルなどと一緒に摂取すべきであるという点です。なぜなら、抗酸化防御システムというのは全体として機能するものであって、単に1つ2つの抗酸化物質だけで単独に機能するものではないからです。

このような全体とした組み合わせができれば、血中LDLコレステロールの酸化は防げますし、また動脈血管内壁への移動を遅らせることが可能です。だれでも20才を過ぎれば、LDLコレステロールはすでに動脈内壁に多少は溜まるものです。だからこそ、その進行をくい止めるために、だれもが何らかの形で抗酸化物質を必要とするのです。そして、ここで重要になるのがビタミンP、別名フラボノイドです。フラボノイドは動脈壁に入り込んでアテロームの進行を抑制します。一方、ベータカロチンも同じように重要です。一時は、ベータカロチンが血中のLDLコレステロールを酸化から守るという説について疑問を持つ専門家が多かった時代がありました。しかし、最新の研究結果によれば、血管内にすでに存在するLDLコレステロールが、さらに酸化されるのを防ぐことによって血管内壁の細胞を防ぎ、それによって心臓疾患のリスクを減らす働きをすることが明らかになっています。

第四章 活性酸素が関係する病気と対策

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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