人間の歴史始まって以来の最初にして(現在のところ)唯一であるパーキンソン症候群の例は、数年前にカリフォルニアの麻薬常習者の1グループに発生したMPTP(訳注4参照)に汚染された麻薬絡みの例です。MPTPは細胞のミトコンドリアに対して毒性のある物質です。活性酸素発生を高めると同時に、重要なグルタチオン抗酸化物質のレベルを低下させ、神経細胞膜を傷め、その結果神経細胞を殺すにいたります。

麻薬関連のパーキンソン症候群以外では、もっと一般的で、MPTPに類似した特発性の化合物が、脳内の被害部位で発見されています。こういう化合物は活性酸素の発生を高め、その反対にグルタチオンを低め、前述のように神経細胞を殺します。

セスキテルペン・ラクトンと呼ばれる化合物を含むアザミの1種を、馬が食べた場合にほとんど同様な症状が起こります。勿論、馬はパーキンソン症候群と似た状態になります。

細胞のミトコンドリアの機能と抗酸化物質の状態に異変が起こり、その異変がパーキンソン病発症と同じように重大な場合は、前述のような栄養的アプローチを試してみる価値はありましょう。できるだけ多くの抗酸化物質を組み合わせ、さらに、ビタミンQ(コエンザイムQ10)とベータカロチンを追加します。これはすべてミトコンドリアの機能を改善するのが目的です。グルタチオンを高める目的でシステインとアルファ・リポ酸を加えるのも有効です。また、細胞が死んだ時に発生して、さらなる活性酸素の発生源となって、悪循環の出発点となる遊離鉄を取り除くためにビタミンP(フラボノイド)の追加も良いでしょう。

さらに欲を言えば、西洋サンザシから抽出したフラボノイドを加えたいところです。これは脂溶性抗酸化物質なので血液脳関門(訳注5参照)を通過して脳内に入ることができるからです。西洋サンザシは昔から鎮静作用があるので知られていますが、おそらく脳内に到達し神経細胞膜を保護することが期待できます。この点では、タイム油かチモールも同じような効果があることを付け加えます。

訳注4― MPTPはテトラヒドロキノロンと呼ばれる神経伝達物質の1つ。

訳注5− 血液脳関門。BBB(Blood-brain barrier)とも呼ばれ、脳に栄養素を供給する毛細血管からなる。一般に脳の代謝に必要な物質は入り易く、脳内で生産される物質は通りにくい。これによって脳は外部環境の変化や有毒物質から守られている。

第四章 活性酸素が関係する病気と対策

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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