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抗酸化性から「酸化促進性」への裏切りは試験管の中でだけ

ある種の試験管的テスト条件では、抗酸化物質は抗酸化性とは反対の「酸化促進」に働いて、破壊性を持ちます。理論的には、これは活性酸素を原因とする病気と組織破壊を悪化させます。これが生体内でも発生するとすれば、抗酸化物質自体が酸化ダメージを悪化させる、つまり心臓発作、関節炎などの炎症を悪化させるということになります。この、「抗酸化」から「酸化促進」への変化は、抗酸化物質が異常に高く蓄積された場合、および「遊離鉄」あるいは「遊離銅」が存在する場合に限定して発生すると考えられます。

このこと自体が、通常の状態では鉄も銅も人体内では遊離状態では発見されない理由です。鉄も銅も常に運搬体タンパク質と密接に結合してその周りに防壁を巡らせ、それぞれが活性酸素を発生させて「抗酸化」から「酸化促進」への裏切り行為をするのを防いでいるのです。

しかしながら、多くの病気、外傷、などの場合には、細胞の破壊それ自体が遊離鉄および遊離銅を発生させるのは事実です。局所的な活性酸素発生率が高まることにより炎症が進み、影響を受けている組織へのダメージにつながります。これは、外傷や過度の運動、外傷後の脳や目、リウマチ性関節炎等のケースも含まれます。潜在的にあり得るこのような炎症継続による悪循環の制御不能を予防することは可能です。一群のセレニウム依存タイプの抗酸化酵素が「鍵」で、これはビタミンCおよびフラビンと共同戦線を組み、鉄化合物の毒性を消去します。

このような特定の条件下で、抗酸化補助食品の功罪を比較して、マイナス面の方が多い可能性があるのではないかという疑問もあります。この疑問に対しての答えは、決して明快ではなく、抗酸化性が酸化促進性へと転換する可能性を完全には払拭できないと答えるしかないのが現状です。例えば、酸性テストですが、これは関節炎等の炎症の患者に抗酸化物質を大量投与して、その後の様子、つまり症状が悪化するか否かを観察する、というものです。このようなテストが実行された形跡は文献上ではありません。筆者の、歯切れの悪い上記の回答は、このようなテストが実行され、その結果を見るまでは、残念ながら歯切れが悪くならざるを得ないのです。

ここで再び、抗酸化から酸化促進への転換についての試験管レベルでの証拠に話を戻します。あるケースでは、ビタミンCとビタミンKの体内の大量蓄積によって、抗ガン剤の治療効果が増加する例もあります。これはどういうことかと言えば、次の通りです。まず、抗ガン剤がガン細胞に死をもたらします。その細胞死が遊離鉄を生みます。その遊離鉄が抗酸化性を酸化促進性へと転換させます。それが細胞破壊を増加させるというのがその理由です。他の例では、ビタミンCは抗酸化物質としての効果は大きくないというものです。遊離鉄が存在する場合は肝臓の細胞を活性酸素から守る能力を失うから、というのが理由です。

ところが、実際の生活における人体のメカニズムの全体像はもっと複雑です。肝臓細胞は自分自身で活性酸素防御タンパクを作ります。これはビタミンC依存タイプのものです。従って、仮にビタミンCの1部が酸化促進性に転換したとしても、残りのビタミンCが肝臓の全体としての防御システムに参加していることが考えられます。実際、現在筆者に入手可能な文献のほとんどすべては肯定的なもので、人間にせよ他の動物にせよ、抗酸化物質は効果あり、しかも、予防のみならず治療にさえも有効との立場を取っています。それも、組織破壊が発生し遊離鉄と遊離銅が存在する条件下でさえも肯定的なのです。例えば、冠状動脈疾患の場合で、破壊された赤血球によって発生した遊離鉄は問題部位の組織破壊に手を貸すと考えられています。動脈内のじゅく状斑の粥状物質は酸化促進性が高いので知られています。それにもかかわらず、動物実験や臨床例はすべて、抗酸化物質がじゅく状形成プロセスを遅らせる事実を示しているのです。

活性酸素による組織破壊の例もあります、それによれば、その場合の活性酸素は外科手術による外傷が基本原因であったとされています。この例では、抗酸化物質は決して悪玉としてではなく、むしろ「白馬の騎士」として扱われています。外科手術の後に投与されたカロテノイドと他の抗酸化ビタミン類が水腫を減らし、回復プロセスを加速し、術後の体機能の改善と回復に貢献したとされています。

パーキンソン病も活性酸素によるダメージが引き起こすとされています。冠状動脈疾患と同様に、遊離鉄が悪役を勤めます。万が一にも、抗酸化物質が臨床的に酸化促進性を示すとすれば、おそらくこのケースと思われます。しかし、大量の抗酸化物質のパーキンソン病に対する投与例の結果については、報告があいまいです。初期の例は好結果であったにもかかわらず、その後の充分考えて設計された臨床例では良い結果が出ていないのです。しかし抗酸化物質が悪玉であることを示してもいませんし、悪化させるのに手を貸したという具体的な例もありません。

この点について最も説得力がある報告は、有毒量の鉄に曝した(これこそが抗酸化物質の抗酸化性が酸化促進性に転化すると思われる状況なのですが)実験動物に対して行われた実験の結果です。この場合、ビタミンEを大量投与した対象には被害がないどころか、全く反対に、急性も慢性も含めて鉄の毒性からの被害が皆無だったというものです。

最後に加えますが、抗酸化物質は当然ながら酸化還元の試薬であり、通常の生化学の範疇で機能するものです。万一、抗酸化物質がある一定の状況下で酸化促進性を持ったとしても、それ自体はほとんど問題ではありません。何故なら、抗酸化物質由来の活性酸素のエネルギー・レベルは、それによってすでに活性を奪われているため、生体由来の活性酸素のエネルギーより低いからです。従って、抗酸化物質由来の、酸化促進性から転化した活性酸素の活性は低く、与える被害も少ないのです。しかしながら、何かの病的状態、炎症があるとか、相当量の遷移金属イオンが存在する可能性があるような場合、などで治療の目的で抗酸化物質の副作用を心配される場合には、取りあえず、鉄をキレート化する機能を持つビタミンP(フラボノイド)から試みることをお勧めする次第です。(第7の2章参照。なお今後ビタミンPはすべてフラボノイドに統一します)

この点では、フラボノイドは非常にユニークな存在です。重要なのは、これには潜在的な治療効果が見られる点です。その特性の1つは先ず遊離鉄を捕まえる機能であり、その性格からして、他の抗酸化物質と異なり酸化促進性に転化することがないことです。また、フラボノイドには体内の活性酸素発生に関わる酵素類としてのリポキシゲナーゼやシクロオクシゲナーゼに対してインヒビターとして抑止機能があり、強力な抗炎症能力が認められます。それだけではなく、フラボノイドには活性酸素自体を抑圧する高い能力が認められます。インドのアーユルベーダー医学でフラボノイドが多く使われるのも偶然とは思われません。結論として、抗酸化性から酸化促進性への転換は試験管レベルでは可能と考えられますが、実際にはあまり大きな問題とは考えられません。

第六章 抗酸化性から「酸化促進性」への裏切りは試験管の中でだけ

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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