ミトコンドリアと老化

寿命を50%延ばそうと言うのはいささか高望みだとしても、エネルギーを発生するミトコンドリアの内部でコエンザイムQ10が行う働きを詳しく調べてみると、コエンザイムQ10について肯定的な証拠ばかりが目に付きます。

細胞の内部における酸素の燃焼はミトコンドリアの内部において最も激しく行われます。摂取した食品の燃焼(あるいは酸化)はミトコンドリアの内部で充分に管理された形で行われて、その結果としてエネルギーが生み出されます。もちろん、そのプロセスの中で活性酸素も同時に生み出されます。発生した活性酸素はミトコンドリアを攻撃し、やがてミトコンドリアのエネルギー産出効率はそれだけ低下します。ミトコンドリアの効率が低下すれば、細胞の供給可能なエネルギーレベルも低下します。そのエネルギー産出レベルが一定の線より下がると、細胞はまともに機能しなくなり、アポトーシスと呼ばれる細胞の自殺メカニズムのスイッチが「オン」になります。こうして自己破壊する細胞の数が増加すると、生体の器官そのものが衰え、やがて死ぬことになるわけです。これがいわゆるミトコンドリアの老化の理論で、各種の証拠がその正しさを裏付けています。

実際に調べてみると、若い人に比べて、老人の場合は、ミトコンドリアの損傷の状態は進んでいますし、その機能も衰えていることは確かです。細胞全体の機能も同じように衰えています。衰えるという意味は、損傷からの回復が遅く、分泌機能も低下しているという意味です。

コエンザイムQ10は、こういったプロセスの発生をストップする目的で極めてユニークで興味ある物質です。老人のQ10補助食品に対する反応は非常に敏感で、エネルギーが増加し、健康全般について良い反応を示すと報告されています。細胞レベルで見て、コエンザイムQ10は老人の損傷した細胞からのエネルギー産出を増加するのみならず、その抗酸化性が、コエンザイムQ10摂取以後の活性酸素によるダメージの足し算を防ぐという意味で、そのメリットには計り知れないものがあります。特に、エネルギー産出の役割を受け持つミトコンドリアを活性酸素から守る効果は老人にとって大きな福音です。

筆者自身は、コエンザイムQ10こそが人の長寿化の鍵だと信じていますが、その証拠が客観的に確認され、有無を言わせぬ事実として示されるには今少しの時間が掛かると思います。なにしろ「長寿化」の証明には、実際に長く生きてみせる人を見届ける必要があるわけですから、その確認は、「長寿化すればするほど時間が掛かる」ことになります。時間が掛かるというのは、そういう意味ですが、まことに皮肉としか言えません。しかし、今現在、この瞬間に、健康な長寿を希望する中年の人々にとっては、上に述べた「確認」が終わるまで待ってはいられません。したがって、長寿効果はここでひとまず横に置いて、短期的メリットとしての、エネルギー・ブースター効果だけでも試してみてはいかがでしょうか? 1日当たり60ミリグラムから100ミリグラムの摂取でエネルギーの回復が、自分自身で充分に感じられる筈です。

第七章 いま注目の抗酸化物質

クレイトン博士の「英国流医食同源」 ~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~』の内容を転載しております。

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