老化という現象が、活性酸素の害によって起こるという説を支持する証拠は大量に存在します。例えば、カリフォルニア大学のマイケル・ローズが、研究者の世界では通称「スーパーフライ」と呼ばれる突然変異の蠅を生み出すのに成功したのはつい最近の話です。この蠅は、その兄弟姉妹より2倍も長生きしたというのです。このスーパーフライを観察して彼が発見したのは、ただ一点だけ通常の蠅と異なるところがあり、活性酸素を除去する酵素であるSOD(スーパーオキサイドデイスムターゼ)を、それも特に効力の強いものを作り出す能力あったという点です。

殆ど時を同じくして、今度は、コロラド大学のトーマス・ジョンソンが、通常より70%も長生きする条虫を発見したのです。前述の「スパーフライ」と同様に、この条虫も普通よりはるかに大量の抗酸化酵素のSODとカタラーゼを作っていたのです。種としては全く異なる種に属しますが、これら2つの突然変異体の共通項は、顕著な長命と通常よりはるかに優秀な活性酸素防御システムを持っていたという点です。

コエンザイムQ10を投与した動物実験の場合を見てみましょう。使用した動物はマウスでした。寿命は約50%伸びました。しかし、すでに抗酸化物質がコエンザイムQ10と連携して働くことが分かっていますので、これに更に追加して、他の抗酸化物質投与すれば、寿命が一層延びる可能性はあるのです。

マウスからヒトまでの進化のステップは比較的小さなものです。マウスは哺乳動物ですから、その点はヒトと同じです。代謝についてもいろいろな点から見て、ヒトの代謝と似たようなものです。もちろん、全く同じとは言えませんが、同じ部分の方が異なる部分よりも多いのです。実験動物として最も多く用いられることの多い齧歯類に対する活性酸素が与える諸問題、中でも、老化の問題については良く知られていて、ヒトとの類似点が多いことが分かっています。だから、多くの点でマウスはヒトに代わって色々な指標を与えてくれます。

世界的に名を知られたカリフォルニア大学の生化学研究者、ブルース・エイムス博士(エイムス・テストの開発者=第12、13ページ参照)の研究でラットの細胞のDNAが1日に浴びる活性酸素はおよそ10万単位と判明しています。前にも触れましたが、損傷を受けたDNAはその細胞自身を殺すか、あるいは発ガン性にします。それこそが、あらゆる生命体が自分自身のDNA修理キットを持っている理由です。ラットのDNA修理キットとしての酵素は常に、受けた損傷を除去しようと懸命に働くのですが、なかなか追いつきません。若いラットの場合は、その細胞それぞれのDNAにおよそ100万ケ所の損傷があるのに対して、年を取ったラットの場合はそれが200万ケ所にまで達します。またDNA修理キットそのものも加齢とともに働きが鈍ります。修理キット自体も損傷を受けるからです。結論として、ラットの場合はガンになる率はヒトより高く、ヒトの場合はラットより低いのです。その理由はヒトの対活性酸素防御システムの設計がラットのものより良く出来ていて、それがヒトの寿命がラットより長くなる理由と考えられます。

動物の餌に抗酸化物質を与えたらどうなるでしょうか?理論的には活性酸素による損傷率を低下させる筈です。ケンタッキー大学医学センターのジョン・カーニー が1993年に行ったのはまさしくその理論の証明でした。アレチネズミの脳とその他のタンパク質の酸化レベルが加齢とともに増加することを先ず証明しました。その後PBNと呼ばれる抗酸化物質を、年を取って活性酸素の攻撃を受けたネズミに与えてみたところ、2つの重要な効果を発見しました。第1の効果は、脳に受けた損傷が若いネズミのレベルまで低下したことで、第2の効果は、問題があった短期記憶に劇的な改善が見られたことでした。迷路を通過するのに必要な学習能力が向上し、年令が半分の若いネズミのレベルまで回復したのです。

第八章 活性酸素と老化

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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