活性酸素とミトコンドリア

活性酸素は細胞核の遺伝物質と細胞膜の脂質に損傷を与えますが、研究者の中には、活性酸素が与える損傷で、老化に関係するのはどこか別の部位、つまり細胞のエネルギーの発電所と呼ばれるミトコンドリアではないかと考える人々がいます。

体細胞と生殖細胞のDNAは、修理キットとしての酵素とヒストン(殆どすべての真核細胞の核内DNAと複合体を形成する塩基性タンパク質)のような抗酸化物資によって守られています。しかし、細胞の活力源としてのミトコンドリアの内部にあるDNAは守られていません。細胞のエネルギー発生が最も激しく行われるのはミトコンドリアの中であり、そこでこそDNAがその価値を最大に発揮するのです。それぞれのミトコンドリアは複数のDNAコピーを持っており、1つが損傷や破壊を受けても、他のDNAがとって代わるという安全装置が備わっています。とは言っても、コピーの数には限界があり、最後にはミトコンドリアも屈服します。これがミトコンドリアの働きが加齢によって低下する原因です。この事実は、南カリフォルニア大学のジーノ・コートパシとノーマン・アナハイムによって証明されました。また、エモリー大学医学部のダグラス・ウオーレスが、ミトコンドリアの加齢による活力喪失と、損傷を受けるDNAの数の増加、の間に直接関連があることを証明しました。

ミトコンドリアの数が減少すると、細胞のために発生するエネルギーも減少します。その結果として、細胞エネルギーの不足が直接的に器官の機能低下をもたらし、システム崩壊を経て、最後は死に至ることになります。コエンザイムQ10の役割はここで発揮されるのです。ミトコンドリアの中に入り込み、2つの重要な役割を果たします。1つ目は先ず、抗酸化物質としての役割で、2つ目はリン酸化連鎖反応における「つなぎ」の役割です。これは、摂取する食物からエネルギーをATPへ伝達するプロセスです。コエンザイムQ10を補強することによってミトコンドリアのエネルギー生産活動が活性化するのです。コエンザイムQ10には活性酸素を駆逐する能力もあるため、ミトコンドリアが酸化による損傷を受ける速度を遅らせます。こうしてコエンザイムQ10は全体としての老化現象の発生を遅らせるわけです。

コエンザイムQ10を投与したマウス(現在までのところ、世界に出現したいかなる同種よりも50%も長寿を記録したマウスなのですが)がまことに意味深長なことを語りかけています。つまり、コエンザイムQ10はおそらく「生物時計」の針をこれほど遅らせる能力を持った最初の「栄養素としての抗酸化物質」だと語るのです。「最初の」は良いとして、コエンザイムQ10で「最後」にはなって欲しくないと、筆者としては、心から願う次第です。(コエンザイムQ10については第7章の2参照)

活性酸素は確かに寿命に関わる重要な要素ではありますが、寿命に関わる要素はけっしてそれだけではありません。遺伝的要素も寿命を決定する大きな要因です。細胞が再生産できる回数には限界があります。細胞分裂は決して無限ではありません。この制限回数を決定するメカニズムには、どうやら活性酸素による損傷は関係していない様子です。ここで現在のところ議論が沸騰中のDNA鎖のテロメア(末端小粒)が登場します。染色体の末端に位置する一連のDNA塩基のことです。正常な細胞の場合は、分裂が起こる度毎にこれらの1部が失われますが、その喪失もある一定の限度(50回から100回)を超えると細胞分裂が停止します。このような喪失がどのようにして起こるかも、いずれは明らかになり、それを遅らせる方法も、例えばテロメラーゼ酵素(分裂を繰り返しても消滅しないので、不死化酵素とも呼ばれている)のように、明らかになることと思われます。

第八章 活性酸素とミトコンドリア

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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