ベジタリアンは何故長命?

人体のあらゆる生きた組織、器官、細胞には化合物としての抗酸化物質が存在します。また人間が摂取するあらゆる食品にもこの抗酸化物質が含まれています。肉類、魚、鳥、ミルク、卵、野菜、果物、ナッツ類、穀物、などはすべて抗酸化物質を含んでいます。もしこれらの食品に抗酸化物質が含まれていなければ、これらは直ちに酸敗してしまいます。もしも、そうだとすれば、肉だけ食べていても抗酸化物質は不足しないはずではないか、という疑問が生まれてきます。しかし、答えは簡単で、「ノー」です。その理由は、たとえばミルクや卵黄に含まれるペプチドカルノシンのような、肉の中に含まれる抗酸化物質は調理の際の加熱で壊れてしまうからです。

読者は、生卵や生肉ステーキ(ステーキ・タルタル)なら加熱しないではないかと思われるかも知れません。でも、答えはやはり駄目です。調理で壊れないにしても、消化管内の消化液で破壊されるからです。一方、果物や野菜に含まれる抗酸化物質なら、かりに加熱しても、壊れない可能性が高いのです。その上、これら果物と野菜に含まれる抗酸化物質は、個人差はあるにせよ、吸収も一般的には良いのです。これが、菜食主義者が比較的に長命である理由の1つなのです。そのほかにも菜食主義者が長命な理由があります。それは野菜には自分自身の身体が、その抗酸化酵素の生産力を高く維持するための化合物がいろいろと含まれているからです。この他にも野菜には人間の身体のためになるさまざまな化合物が含まれています。

食生活を変えると、それによって体内の活性酸素の発生量に大きな変化をもたらします。もちろん、ライフスタイルの中には「食」とは無関係な多くの要素もあります。たとえば喫煙、日光浴、有酸素運動などです。これらはすべて体内の活性酸素の発生を増やします。喫煙、紫外線、耐久競技などについて、度を過ごした場合は、いずれも発生する活性酸素を基本原因とするさまざまな疾患によって寿命を短くし易くします。バクテリア、ウイルス、真菌類などによる慢性的感染も活性酸素を増加させる原因になります。これらもまたDNA(デオキシリボ核酸)の損傷と関係して、発ガンのリスクを増加させます。この点では、各種の病原菌もおなじです。胃ガンの原因としてのピロリ菌(正確にはヘリコバクターピロリ菌)、頸部ガンの原因となる乳頭腫ウイルスなどは良く知られている通りです。

原因が何にあるかは別として、体内の活性酸素の量が増加した場合の身体の反応は、抗酸化酵素の量を増やすことによって、これに対抗しようとします。これは活性酸素の攻撃に対する第一防御機構の働きです。この防御システムは動物のみならず、植物にも見られます。問題は、これらの抗酸化酵素は金属元素を基としていることです。このような防御機構がうまく働くためにはセレニウム、亜鉛、銅、マンガンなどの微量元素の仲間を1つあるいは複数で必要とします。しかし、多くの人々はこれら微量元素のいずれかが不足しています。発生する活性酸素が多いにもかかわらず、それにたいする防御システムはうまく働かない、というケースはまさに最悪です。スコットランドには若年の喫煙者が多いのですが、30才代、40才代で多くの心臓発作患者が出ています。喫煙によって発生する活性酸素と果物と野菜の摂取不足という組み合わせの典型的な例です。まさに抗酸化物質と微量ミネラルの不足という、前述した最悪の組合せのサンプルです。

第三章 悪玉酸素の正体は(その一)?

クレイトン博士の「英国流医食同源」 ~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」~発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる~』の内容を転載しております。

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