一時はビタミンPと呼ばれることが多かったこの物質は、最近はフラボノイドという名の方が一般的に通じ易くなり始めています、従って、今後は本書の中でも名称をフラボノイドに統一します。フラボノイド類は「フィトケミカル」の仲間のひとつで、医学的に見て、もっとも重要な植物由来の化合物です。現代のもっとも進歩した分析技術で同定されるフラボノイドの仲間は、数をかぞえれば3000を超えます。かって一時、これらはまとめてビタミンPと呼ばれた時代もありました。

ビタミンPは1936年にハンガリアの生化学者ゼント・ギオルギ(Szent Gyorgyi=1937年ノーベル賞受賞)によって発見されました。ビタミンPの「P」はパプリカの頭文字のPから取ったものとも言われますし、また浸透性を示す(Permeability)という英語の頭文字から取ったとも言われています。パプリカはこのフラボノイドの仲間の化合物を豊富に含み、ハンガリア料理には不可欠のものですが、パプリカの抽出物は昔から出血防止に効果があるとされています。

この意味では、ビタミンP、つまりフラボノイドはビタミンCと似ています。発見者のギオルギはこれら2つのビタミンは体内で相互に補完し合って作用すると考えました。その見解はその後1度否定されましたが、ごく最近の研究によって、広い意味での彼の見解は正しかったとして、最近あらためて見直されているところです。少なくとも、フラボノイドの仲間の1つであるリューコアントシアニジンが壊血病に罹った実験動物(モルモット)に対してビタミンCの代役を果たしたという事実があります。ちなみに、哺乳類の仲間では、モルモットと人間だけがビタミンCを、自分自身の体内で作ることができません。松の樹皮を煎じて抽出したフラボノイド(ピクノジェノール)を豊富に含む物質が人間の壊血病に有効であるという確かな報告があります。同じフラボノイドをビタミンCと組み合わせて使用した場合に、心臓血管系疾患の治療に非常に効果があることも確認されています。

ギオルギによるビタミンPの発見に基づいて、いくつかの製薬会社がビタミンPを含む一連の医薬品を発売しましたが、1960年代までにほとんどの製品は姿を消しました。ビタミンPが自然抽出物なので、製薬会社としては特許が取れなかったのもその理由の1つでした。また、ビタミンPの明確な同定と定量測定が困難だったこと、それが化合物として1つのものなのか複数の化合物の共同作用なのか、などが不明であったため、製薬会社としては、信頼に足る高品質の製品を作るのが難しかったのも原因の1つでした。

現代科学は上記の諸問題はすでに解決しています。フラボノイド類の同定は済んでいます。これらはおよそ12種類の化学的に異なるグループに分類され、その多くに抗酸化作用があることが確認されています。これら12種類のグループについて、現在それぞれ真剣な研究がなされている最中です。面白いことに、これまでの研究結果では、判で押したように、長いあいだ伝えられてきた民間伝承的な薬効が確認されています。たとえば、ある種のフラボノイドは肝臓に発生する活性酸素の除去に非常に有効であり、昔から肝臓病に良いとされてきたオオアザミ(Milk Thistle)には特に多く含まれていることが確認されました。また、別の種類のフラボノイドは動脈内壁の活性酸素を消去することが確認されましたが、これらは、やはり昔から心臓病に良いとされてきたサンザシ(Hawthorn)とノコギリソウ(Yarrow)にかなり高い濃度で含まれています。

これは決して偶然とは思われません。ハーブ類のすべてに薬効があるとは言えませんが、伝統というものは何千年ものあいだ人々に引き継がれているものです。数限りない世代を通じた多くの経験の積み重ねの上に成立っています。国境を超え、大陸さえ超えて、同じハーブ類が、また同じ植物が、同じ病気の治療に使われているケースが数多く見られますが、これも決して偶然の産物とは筆者には思えません。そう考えると、近代科学は、古来の伝統的ハーブ治療法を近代的に追認しているわけですが、その意味では旧いものも新しく、合理的に使うことによって、その優れた予防と治療効果を充分に使いこなすべきと筆者は考えるしだいです。

第七章 いま注目の抗酸化物質

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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