抗ガン化学療法とフラボノイド

フラボノイドの抗ガン作用のうちで特に注目すべき点は、細胞移動のプロセスを調節する能力です。細胞の動きを抑制するということは、すなわち、腫瘍の成長を抑制するのみならず、ガン細胞の転移を減らすことも意味します。ガンの治療について、より優しく、より効果的な、まったく新しいアプローチの基礎となるコンセプトです。製薬業界の生化学の部門はこの分野の研究に巨額の資金を投入していますが、これは栄養学者の方が先に目を付けている分野です。従って、一般の消費者の立場からも容易に、かつ低コストで恩恵に与ることが可能です。

われわれの身体が物理的にその形を保っていられる理由は、色々な器官や体組織がコラーゲン、エラスチンその他の繊維によって成る密なネットワークによってまとめられているからです。これらの繊維は丈夫な細胞外マトリックスを形成しており、これが、細胞が勝手気ままに体内で動き回るのを防いでいるのです。とは言っても、この一般ルールにも例外があります。一般社会のルールと同じように、ルール破りは必ずいるものです。たとえば、密猟者のようなものです。ある種のバクテリアは、この細胞外マトリックスを溶解し、病原菌の組織内侵入を許すような酵素を分泌します。これに対して密漁監視員が動員されるわけです。多くの免疫細胞は同様な酵素を分泌し、体内のどこでも自由に動き回り、必要とされる場所に移動できるのです。

ルール破りは、密猟者だけではなく、ガン細胞もそうです。ガン細胞は増殖しながら、身体の細胞外マトリックスを溶かす能力を持った幅広い一連の酵素を分泌します。現在までに11種類の酵素が同定されており、これらはぜんぶまとめてMMP(金属プロテアーゼ・マトリックス)と呼ばれています。これらの酵素は細胞外マトリックスを破壊して、体内の他の部位へガン細胞が広がり、転移するのに手を貸すわけです。その意味ではガン細胞にとっては、MMPは重要です、これがなくては、ガンは成長も転移もできないからです。ガン細胞によるMMPの生産が増えれば増えるほど、ガンはいっそう「悪性化」するというわけです。

MMPの破壊性は非常に強いので、ガン細胞はこれを自分では作り出せません。自分で作り出せば、自分自身が破壊されるからです。ではどうして作るのでしょうか? ガン細胞は、先ず、MMPの前駆体である不活性なMMPを作ります。これは言うならば「安全装置」付きのMMPです。そしてその前駆体を無事に細胞外へ送り出してから、一連の2次酵素を送り込みます。それから、その不活性なMMP前駆体の「安全装置」を取り外してMMPを活性化させるのです。

複数の製薬会社がMMP抑止剤を合成技術によって開発しました。1次臨床結果では、ガンの成長と転移を効果的に抑止する結果を示しています。このMMP抑止剤の良い点は、今のところは副作用がほとんど見られないところです。

しかしながら、本書の主題として筆者が繰り返し力説したいのは、どんな場合でも、食品による栄養的アプローチには常にそれなりの可能性があるということです。また、大豆および他の豆類には、前述の2次酵素の生産を抑制し、MMPの活性化を阻害する効果があるという事実も重要です。食習慣として大豆の摂取が多い地域では、乳ガンと前立腺ガンの発生率が低いという事実について、その因果関係を説明するのは、この2次酵素の生産抑制ではないかと考えられます。プロシアニジン・フラボノイドはガン細胞の侵入性を減らす物質として知られています。でもその働きは補完的なものであり、マトリックス繊維の周辺に集結してMMPに対する防壁として働きます。

従って、豆類からの抽出物とプロシアニジン・フラボノイドとの組み合わせは、転移抑止効果にさらに追い打ちをかけるガン防止ブースターとしての働きが期待できます。さらに一層の効果を期待するなら、これらに鮫の軟骨を加えます。鮫の軟骨は、新生血管の成長を阻害する効果があり、ガン細胞に対する栄養補給を断つことによってその成長を阻害すると考えられます。

第七章 いま注目の抗酸化物質

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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