食品に含まれる抗ガン成分

本章の初めで述べたように、ガン成長阻害因子と新生血管形成阻害物質の多くは、食品などに含まれる自然由来の物質です。医師の中にも、この点で異議をとなえる人もいます。また、食物の中にも、試験管では抗ガン性を示すものの、その物質を生体内で治療効果をみせるに充分な量を吸収するのは難しいと主張する人もいます。筆者に言わせれば、これらの考え方は両方とも誤っていると思います。

大豆はゲニステインを含んでいます。このゲニステインは新生血管形成阻害物質として強力です。科学者の多くは、初めはゲニステインを効力なしと断定していました。しかし、その後の研究によれば、一定量の大豆タンパクの摂取によって、血中のゲニステイン量が上昇し、ガン細胞の活動を抑制することが明らかになっています。この場合に必要なゲニステインの血中濃度は、試験管内でははっきりと確認されています。

臨床的結果でも、多くの実験から、ゲニステインとその他の大豆抽出化合物が乳ガン、前立腺ガン、結腸ガン細胞、白血病などの成長を阻害する効果があることを示しています。

日本における大豆の消費は西欧と比べて多いので、日本人のゲニステインの尿中排出レベルは、男女とも西欧人のレベルのおよそ30倍とされています。このことはおそらく日本人の血中、あるいは組織内のゲニステインのレベルもそれだけ高いことを意味します。そしてそれが日本人の各種のガンをくい止めている理由と考えられます。このように考えると、アメリカに移住した日本人男性に前立腺ガンが急増した理由として納得できるものになります。移住後は大豆の摂取が少なくなります。それこそが、体内に潜んではいたが、ゲニステインによってくい止められていたガンが突然自由になって成長する理由です。

大豆には少なくても五種類のプロテアーゼ活性を阻害する物質が含まれています。それらの物質が、マトリックス金属プロテアーゼの活性化を防ぐのです。そのうちの1つはボーマン・バークインヒビターとして知られるトリプシン阻害物質です。近年の研究で、この興味深く、将来は治療的に使える可能性を秘めた物質は消化管から吸収され、体内に広く行き渡り、肺、肝臓、腎臓、血中、膀胱などに達することが判明しました。と言う次第で、ここにもまた、ありふれた日常的食物から抽出され、ガンの転移を防ぐ物質がもう1つ存在するというわけです。

西欧人の立場から言って、もう少し馴染んだ食物の例を取り上げます。クロフサスグリとバラ科のハゴロモグサという宿根植物があります。これらはいずれも、ほとんど全ての金属プロテアーゼ酵素、つまり、コラゲナーゼ、エラスターゼ、ヒアルロンダーゼなどの阻害物質として有効です。前述のように、これらはいずれも細胞外マトリックスをガンから守る繊維である善玉のコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸にとっての敵役である「悪玉酵素」です。

イチョウピクノジェノールも忘れてななりません。これらの含むフラボノイドは、細胞外マトリックスの繊維であるコラーゲンとエラスチンを安定化させ、悪玉酵素の攻撃から守ります。これも抗ガン性の1つとして非常に重要な能力です。

さて、話を大豆から鮫の軟骨に変えます。メデイアによる毀誉褒貶にもかかわらず、鮫の軟骨からの抽出物は新生血管の成長を阻害することは明らかです。この鮫の軟骨の効果については、今ではもう、納得できる証拠がそろったと言ってよいと考えます。大手の製薬会社は不平をならしていますが、鮫の軟骨の分子は消化管から吸収され、血液によって体内の他の組織に運搬されます。その運搬される量についても治療効果が認められるに足る量であることが判明しています。大豆についてと同様に、鮫の軟骨も新生血管の形成を阻害するのみならず、マトリックス金属プロテアーゼ酵素であるコラゲノーゼの働きを阻害することでガンの転移を防ぎます。研究者の不断の努力が実って、ガン治療のなかでしかるべき地位を確保する日もあまり遠くはないと思います。

第九章 食品に含まれる抗ガン成分

クレイトン博士の「英国流医食同源」 〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜(翻訳版)の内容を転載しています。

当コンテンツは、現代人の食生活に関する問題や身体を守る抗酸化物質に関する豊富な研究結果を元に、多くの消費者の誤解の本質を解き、健康な食生活の実践を啓蒙している、論文『クレイトン博士の「英国流医食同源」〜発ガン性物質があふれる現代を賢く生きる〜』の内容を転載しております。

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